ネタバレあり感想
正直な感想を述べると「なにこの映画?」です。
面白くもつまらなくも無く、ただ100分強に渡って「無」を観せられた感覚です。
(とはいえ、ところどころで爆発とかインパクトのある死体の映像とかが出てくるので、それによる若干の満足感はあります)
おそらく、この映画を楽しむためには物語の中盤にて「カイザー・ソゼ」というキャラクターの名前が登場した時点で「カイザー・ソゼは実在するのか? 実在するとしたら、正体は?」という風に想像を働かせないといけないと思うのです。で、最終的には「カイザー・ソゼの招待はキートンだ!」と思い込まなければならない。そうしないと最後のシーンの「カイザー・ソゼの正体はキントだった!」という点に何の驚きも無くなってしまいます。
ところが、たぶん、これは僕の感受性の問題なのでしょうけれど、僕は物語の中盤で「カイザー・ソゼ」という名前が出てきた時に「なるほど、そういう悪役がいるのね。突然、出てきたけど、そいつが黒幕なんだな」としか思わず、さらに最終局面においても「なんでカイザー・ソゼ自らがワザワザ危険を冒して犯罪現場に登場してるんだろうなぁ…。ていうか、ここから映画の冒頭シーンに繋がるって事は最終的にこの映画はカイザー・ソゼ無双でした…という意味不明なお話ってこと…?」という感想しかなく、最後に「カイザー・ソゼの正体はキントだった!」というバレシーンにおいても「はぁ…? だからなんなの…? 結局、カイザー・ソゼ無双って事には変わりないし、そんなキャラの無双を観せられても何の思い入れも無いし、何の感情も動かない…。ていうか、だとしたら今までのキントの話って全部ウソ? 夢落ち的な映画って事? でも少なくとも冒頭の面通しのシーンは警察の記録に残ってるハズだから本当だろ? という事は…」という風にまったく何の驚きも無く、その代わりにシナリオに対して無数の疑問が沸いてしまう…という展開となりました。
個人的に感じた疑問点を列挙すると以下の通り。
(「面通し」と「キント=カイザー・ソゼ」だけが事実だという前提です)
- カイザー・ソゼは悪魔的犯罪者なのにキントに扮している時にショボい詐欺で逮捕されているのは何故?
- 面通しからアルゼンチン・ギャング襲撃シーンに至るまでの途中のお話は全てキントの作り話…という事でいいの?
- キントは左半身マヒの演技をしているけど、それで警察が本当に騙せるの?
- カイザー・ソゼは自分の顔を知っている船員1人を殺すためだけに、わざわざアルゼンチン・ギャングを大量に殺害して船を爆破する計画を立てたの?
- 結果的に船の乗組員1人が生き延びてしまって、ソイツ経由でカイザー・ソゼの似顔絵が警察の手に渡ってしまったわけだけれど、これはカイザー・ソゼの計画は大失敗だった…という認識でいいの?
- そもそも船の乗組員1人はカイザー・ソゼの顔を見て、ソイツがカイザー・ソゼだと分かったみたいだけど、どうして? カイザー・ソゼは誰にも正体がバレていないのではなかったの?
- キント以外のユージュアル・サスペクツをカイザー・ソゼがワザワザ集めた理由は何?
疑問点はこのくらいです。
これらを総合すると感想は「なにこの映画?」になります。
ただ、この映画は「名作」として評価されている様なので1995年の公開当時においては、なにかしらの目新しさがあったのでしょうね…。2019年に初めて鑑賞した僕にはよくわかりませんでしたが…。
以上です。