こんにちは、横道それ夫です!
久しぶりにGWがまとまったお休みだったので積みゲーをいくつか遊ぶことができました。
今回はその中の1本、『零 ~月蝕の仮面~』(リマスター版)のレビュー記事をお届けします。
シナリオに関するネタバレは含みません。また、本記事の内容はNintendoSwitch版に準拠します。
零 ~月蝕の仮面~
概要
『ぜろ ~つきはみのかめん~』と読みます。
2023年3月9日に発売されました。
パッケージ版・ダウンロード版のいずれも販売されています。
ちなみにダウンロード版の定価は6,380円。
いわゆるフルプライス作品というやつです。
販売元は言わずと知れた国内最大手ゲームメーカーのひとつ、コーエーテクモゲームスです。
よみがえる、戦慄の記憶
《『零 ~月蝕の仮面~』とは》
『零 ~月蝕の仮面~』は、2008年に発売された「零」シリーズ4作目のタイトルです。2021年10月に発売したリマスター版『零 ~濡鴉ノ巫女~』に続き、「零」シリーズの名作がアップグレードされた美しいグラフィックでふたたび蘇ります。《ゲームの内容》
幼少期、孤島「朧月島(ろうげつとう)」で祭のさなかに神隠しにあった少女たちが、失われた記憶を求めて再び島を訪れます。ありえないものを写し、封じ込めるカメラ「射影機(しゃえいき)」と、懐中電灯の僅かな光を頼りに様々な場所を探索し、襲い掛かってくる怨霊を退けながら真実に迫っていきます。《リマスター版の特徴》
・グラフィックの向上
本作では、主要キャラクターモデルを新たに作成し、キャラが登場するムービーもブラッシュアップしています。
また、プラットフォームに合わせてグラフィックを高解像度化しました。懐中電灯による陰影や光の表現が向上し、よりリアルになったことで、さらに臨場感のある恐怖を体験していただくことができます。・「フォトモード」の追加
キャラクターや霊にポーズをつけて配置し、画面写真を撮影できる「フォトモード」を搭載しました。ゲーム内で怖かった場所で、思い思いのシチュエーションを作り上げることができます。もしかしたら、思いもよらない心霊写真が撮影できるかもしれません。・新規コスチュームの追加
オリジナル版から一部のコスチュームのラインナップを変更し、新たな衣装を用意しました。キャラクターの衣装を着せ替えることで、違った雰囲気での探索をお楽しみいただけます。※メーカーによる説明です。
零 ~月蝕の仮面~ | マイニンテンドーストア
「洋」の『バイオハザード』シリーズと「和」の『零』シリーズ。僕の中ではそれくらいホラーゲームの代表格に位置付けられています。
本作のいいところ
現行機で『零 ~月蝕の仮面~』ができるぞ
「本作のいいところ」とはちょっと違うと思いますが、それでも素晴らしいです。
実は当時のWii版も購入していたのですが、Wii特有のリモコン&ヌンチャク操作が性に合わず早々に放置してしまいました。
シリーズ最新作の『零 ~濡鴉ノ巫女~』が先にリマスターされたこともあって、もう本作はリメイクされることもなく、遊ぶことはないだろうと思っていたので感無量です。
シリーズファンとして、まずは一言お礼を言わせていただきたいです。
コーエーテクモさん、ありがとうございます!
グラフィックはバッチリ進化
過去作品のリマスターだと高解像度化やワイド画面対応だけで済ますものも少なくない中、本作はかなり大幅なグラフィックの最適化が行われています。
ほぼすべて作り直しに近い形でリマスターしています。3Dモデルはモデリングし直しましたし、テクスチャーもほとんど描き直しに近いです。そのまま使った素材はほぼないかと。
『零 〜月蝕の仮面〜』キーパーソンインタビュー。本作の注目ポイントは顔が歪んだように表示される演出の“咲く”。そして現代技術で表現された“音” | ファミ通.COM
とのことなので、リマスターですがほぼ「リメイク」に近い印象を感じられる作品です。
原作版との違いはコチラなどをご覧いただければよく分かるかと思います。
親切設計多し
全体的にかなりマイルドな作りで、間口の広い作品に仕上がっている印象です。
元々、Wii版自体がシリーズ再発進の作品だったので新規プレイヤーの参入も強く意識した作りになっているのだと思います。
- 探索が非常に易しい
- ナビゲーションも親切
- 消費アイテムがポイントによる購入制
- オートセーブ対応(ただし注意点あり)
遊びやすさの理由はこのあたりが挙げられるかと思います。
それぞれ少しづつ補足解説します。
探索が非常に易しい&ナビゲーションも親切
本作のキーアイテムは原則、入手直後の進行・展開で使用し、かつ1アイテム1用途で完結しています。
序盤に入手したアイテムが中盤以降に意味を成す、といったことがないのでとてもシンプルです。
また、次に進むべき場所については「親切お化け」※1が度々登場して道案内してくれるので迷うこともほぼありません。
※2 僕が勝手にそう呼んでいるだけで正しくは「浮遊霊」
さらに、入手した「鍵」はどこで使う鍵なのかをしっかり地図にマーキングしてくれる親切仕様。
至れり尽くせりじゃん。
消費アイテムがポイントによる購入制
本作ではフィールドで拾うものに加えて、敵を倒したとき等に入手できるポイントを使って消費アイテムを購入できるシステムがあります。
特に意識せずとも、ノーマル以下の難易度であればかなり潤沢なポイントを入手できるので、回復アイテムから各種フィルム(要するに弾丸)までかなり余裕のある運用が可能です。
「それでは易しすぎる」という骨太プレイヤーは「購入しない」という縛りプレイをすれば済む話なので、ルーキーにもベテランにも有益なシステムだと思います。
オートセーブ対応(注意点あり)
セーブポイントに近づくだけでオートセーブされるようになり、最近のゲームっぽくなりました。
「セーブしますか?」「上書きしますか?」的なやり取りから解放されるだけで随分快適です。
いちいちセーブ画面を開くことなく進行を記録できるようになりました。ゲーム歴30年以上の僕でも、既にオートセーブ無しには抵抗があるのでコレはありがたい。
ただ、注意点ですが、あくまで「セーブポイントに近づくことで」オートセーブされるだけです。
マップ切り替え時やボス戦の前にチェックポイントができる訳ではありません。
セーブポイントに近づかずにアレコレ進めて、あるときボスにやられたら…それはもう酷いことになりますので気を付けて。
くれぐれもご留意を。
本作のちょっとダメなところ
複数主人公の意義が薄い
本作は全12章からなる物語を4人(実質「3人」)のプレイアブルキャラクターの視点で描いており、章が変わるごとに操作キャラクターも入れ替わります。
『街 〜運命の交差点〜』や『バイオハザード2』のザッピングシステムを彷彿させますが、正直あまりうまく機能していた印象はありません。
というのも、3人のキャラクターが劇中で交錯することが無く※2、誰かの行動が別の誰かに影響を及ぼした…みたいな描写もほとんどありません。
※2 実際には少しありますが、ネタバレになるので詳しくは書きません。
せっかくの複数主人公なのに、3人が同じ舞台に立ちながら好き勝手に動き回っているチグハグ感を強く感じました。
そのせいか物語における時間の経過も少し分かりにくかったです。
物語におけるそれぞれの目的も異なるので尚更。これなら入れ替わり制にせずにキャラクター毎に「〇〇編」みたいにエピソードを分けた方がよかった気がします。
あんまり怖くない
シリーズの中でも「初代」や「紅い蝶」はクソ怖くて、プレイ後には自分の部屋のドアを開けるのもちょっとドキドキしたレベルでしたが、正直、本作はあんまり怖くないです。
理由としては…
- 建物が全体的に荒廃感がなく割とキレイで安心する
- 明らかに何かある…という予定調和的な演出が多い
- 恐怖や不気味さの演出が妙にクドくて逆に怖くなくなる場面がチラホラ
- 怨霊(敵のこと)との対峙が恐怖というかストレス
「1」「2」「3」は読んだままなので特に補足は必要ないかと思います。
「4」についてですが、本作は退路を塞がれた状態での強制戦闘(除霊)※3が非常に多いです。
※3 逃げることができず、戦闘を終わらせることで先に進める状況
そのうえ、怨霊どもはクソ狭い廊下やら物の多い個室やらで襲ってくるので対処が非常に煩わしく感じます。
結果、閉所で迫ってこられる恐怖よりも、不利&理不尽すぎる状況に対する怒りの方が強くなります。
僕はかなり早い段階で「ひぃぃ!怖い!!」から「またなの!?ええ加減、往生せえや!!」になってしまいました。
アイテムが見つけにくい&拾いにくい
アイテムはキーアイテム・消費アイテムに関わらず、基本的には懐中電灯で照らして発見するまで拾えない仕様になっています。
この「懐中電灯で照らす」が曲者で、かなり的確にライトを当てないとアイテムを認識してくれません。
アイテムを拾える距離の認識も曖昧で、特に足元のアイテムの拾いづらさは相当のもの。
いずれも視点移動の融通の利かなさ(特に上下)に起因するものですが、リマスターに際してWiiの操作方法をもう少し現行機のコントローラー向けに最適化して欲しかったですね。
センサー機能的なもののおかげでアイテムの位置自体は把握可能になっており、捜索漏れによる詰みが発生しづらいのは救いでしょうか。
懐中電灯で照らさずにカメラで探した方が早いことに気づいたのは2周目に入ってからです。
「懐中電灯で照らす」ではなく「一定時間視点に収める」でも発見できる仕様みたいですね。
エリアの解放がフラグ式
結構めんどくさいなぁと思ってしまった点です。
「本作のいいところ」でナビゲーションが親切と書きましたが、これがときどき悪さをします。
確かに「次に進む場所を浮遊霊が教えてくれる」のですが、逆に「浮遊霊のナビゲーションを見なければ先に進めない」とも言えます。
例えば、次に進むべき場所が明確に分かっていて、その場所には建物の左回りでも右回りでも辿り着けるとします。
このときに間違った方向から進むと浮遊霊のナビゲーションが発生せず、通れるはずのドアが開かない現象に遭遇します。
逆方向から周り直すと浮遊霊が現れて入れるようになるのですが、なんだこれ…。
行き先が分かっていてもナビを無視して勝手に進んじゃダメ!団体ツアーか何かですか…?
歩くのが遅い
全力ダッシュされてもそれはそれで雰囲気が壊れて作品として違う気はしますが、それにしたって遅すぎです。
和風ホラー独特の雰囲気でジワジワと怖がらせるその他の演出と相まって、作品全体が派手さに欠け、非常にスローペースな印象になってしまっています。
歩くのが遅いのは「印象」ではなく「事実」です。
総評
シリーズファンから見れば安心の『零』シリーズです。
グラフィックについては「昔のゲーム」を遊んでいる印象は全く受けず、最近のゲームグラフィックを見慣れたプレイヤーから見ても、割と上質なクオリティに仕上がっていると思います。
コーエーテクモゲームスの3Dモデリングは超優秀ですので。
一方で、操作性についてはリマスター前の2008年時点から大きく変化していないんだろうなぁと思わせられる古臭さもあります。
この少々古臭さの感じられる操作性を「思い通りにいかない故の恐怖演出」として肯定的に捉えられるか、単純に「煩わしい」と否定的に捉えるかで作品の印象は随分変わりそう。
僕は否定派ですがシリーズファン補正で耐えられました。
本作の評価は星4つ!★★★★☆!!
いつか、初期3部作のリメイクも遊びたいですねー!
今日もふらとぴにお越しいただきありがとうございます。ではまた!