こんにちは。苦手分野に挑む男、チョッピーです。
オンライン演説
本記事掲載日前日(2022年3月23日)にウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会にてオンライン演説を行った。
読者の皆様の中には、こちらの演説をテレビや YouTube 、はたまた上に貼り付けたようなネット記事などで見聞きされた方も多いのではないかと思う。
「全然、内容知らない…」という方がいらっしゃいましたら、是非、上に貼り付けたネット記事などをお読み頂ければ幸いです。というか、今回の記事、こちらの演説を中心にした内容ですので、その内容を全然、知らない方は全く楽しめないかもしれません。実際の演説内容を動画で観たい…という方は「衆議院インターネット中継」の該当ページなどからどうぞ。
さて、皆様はこちらの演説を見聞きして、何を考え、何を感じただろうか?
僕個人としては
- 力による現状変更を認めてはいけない
- 戦争行為は即時に停止すべきであり、日本としては国際社会の一員としてそれに寄与するための責任ある態度を取るべきである
という演説前から感じていた考え・気持ちが強化された。
また、メディアやSNS上の意見をザっと眺める限り、今回の演説を受けて、ウクライナおよびゼレンスキー大統領に対する印象が悪化した人はそんなにいないように思える。
今回の演説は、ウクライナおよびゼレンスキー大統領にとっては「成功」だったと言えるのではないだろうか。
チョッピーって、他人の演説の成否を偉そうに評価できる程、それについて明るい人だったっけ?
そう、そうなのである。
僕は他人の演説…つまりはプレゼンを評価してどうこう言えるほど、それについて明るくない。
いや、正確に言うと「何事かを論理的に説明するタイプのプレゼン」はそんなに苦手ではない。むしろそのタイプのプレゼンは比較的得意だという自負すらある。
一方、僕は「聴衆に納得・共感してもらうためのプレゼン」は圧倒的に苦手だ。自分自身が他人に対する共感性に欠けるタイプの人間であるので、他人が何に納得して、何に共感するのかが全く理解できていない。
チョッピスト(『Daily Choppy !』の愛読者の意)の方々は、『Daily Choppy !』の各記事から、僕のその特性の片鱗を感じ取って頂けているかもしれませんね。
そんなわけで僕は今回のゼレンスキー大統領の演説を見聞きして、確かに上述した気持ちを抱いたのも本当なのだが、それ以上に単純に驚いた。
他国の国民に対して、こんなに受け入れられる演説が出来るものなのか? しかも、自国が侵略されていて、いつ自分が殺害されるともしれない状況にある時に?
ものすごい能力だ。さすが一国の長だけある。
もちろんスピーチライター等、ゼレンスキー大統領以外の方の力も入っているのかもしれませんが、それらを活用できるスキルも含めて、僕は彼の実力だと思っています。
僕も本サイト『ふらとぴ』を運営する株式会社Egeneの代表取締役として、今回の演説から何かを学び取りたいと思う。
各国に最適化されているならば
今回の戦争が始まって以降、ゼレンスキー大統領は世界の各地でオンライン演説を行っている。
例を挙げると以下の国々。(リンク先はニュースソース)
一月に満たない短期間にこれほど多くの国で演説を行っている事自体も驚きだが、さらに驚くべく事に、その内容も演説のたびに変えているらしい。
特にドイツやフランスでの演説では、その国や企業に対する批判も織り交ぜているとのこと。
ゼレンスキー大統領としては、ドイツは、ロシアの影響下から逃れたいとするウクライナの立場を理解せず、ロシア産の天然ガスを輸送する「ノルドストリーム2」の計画を進めてきたことなど、自国の経済を優先する政策をとってきたと批判しました。
ウクライナ大統領 ドイツ議会で演説「指導的役割を果たして」 | NHK | ウクライナ情勢|NHK
演説では、大手自動車メーカーのルノーなどロシアで事業を継続するフランス企業を名指ししたうえで、「ロシアの市場から直ちに撤退すべきだ。ロシアの戦争に加担し、子どもや女性たちを殺害するための資金援助を止めるべきだ」と述べて、ロシア事業からの完全な撤退を求めました。
仏 ルノーがロシアの工場操業停止 ウクライナ大統領の演説受け | NHK | ウクライナ情勢|NHK
基本的に支援を訴えるべき場で、その国の姿勢や企業のスタンスを批判するのは、僕個人の感性と照らし合わせて考えると非常識なようにも映る。
だが、少なくとも今のところ、その訴えはどれもウクライナにとってプラスの方向に響いている様だ。
どうやらゼレンスキー大統領の演説は「その国の政治家・国民にとって一番効果的に働くように計算され尽くした内容」となっているようだ。
という事は逆説的に「ゼレンスキー大統領が日本向けにアレンジした演説」からは「日本人に響く演説の傾向」が読み取れるのかもしれない。
日本人である僕は実際、ゼレンスキ―大統領が日本の国会で行った演説を受けて、少なくともマイナスイメージは感じませんでした。
共通点をマイルドに訴えろ!
ゼレンスキー大統領が日本の国会で行った演説の全文は、本記事冒頭で貼り付けたNHKの記事の通りだ。再掲する。
上の記事に掲載されている内容を基に考えると、今回の演説では以下の点が語られたように僕には思われる。
- 日本の国会でオンライン演説が許された事に対するお礼
- ウクライナと日本が自由と平和という世界共通の価値観を持っている事の確認
- 日本のウクライナへの支援、ロシアに対する制裁への感謝
- チェルノブイリ原発の危機
- ロシア軍によるサリン、核兵器使用の可能性
- 戦争の犠牲者が十分な埋葬をされていないという悲劇
- 海路封鎖による危機
- 国際機関の機能不全
- 資源輸入国における世界市場の不安定化の悪影響
- 日本がアジアにおける西側諸国的価値観の盟主であること
- 生まれ育った土地に住み続けられる事の価値
- ウクライナと日本が協力すれば素晴らしい世界を取り戻せる
- ウクライナは日本の文化をリスペクトしている
- ウクライナと日本は似ている
- ウクライナ・日本両国に栄光あれ
これらを僕の理解でまとめると
- ウクライナと日本は同じ価値観を持ち、同じ苦しみを味わい、同じ未来を夢見ているが、現在は同じ危機に直面している。だが、両国が力を合わせればこの危機は乗り越えられる。
となる。
ここから推測できる「日本人に響く訴求点」は
- 和
- 自尊心
の2つではないかと僕には思える。
実際、ドイツやフランスでの演説で見られたような「べき論」をベースにした批判は日本での演説からは全く読み取れない。
そこにあるのは、ひたすら日本に対する感謝と協調だけだ。
また、福島の原発事故やオウム真理教による地下鉄サリン事件、あるいは覇権主義を突き進む中国への危機感など、日本にとっての悲劇や危機を想起される文言は多く散りばめられていたが、直接的にそれらについて語られてはいない。
日本人には「プラスの事象は直接的に、マイナスの事象はマイルドに表し、ひたすら僕とあなたの共通点を訴える」という手法が有効なのかもしれない。
繰り返しますが、日本人である僕は実際、ゼレンスキ―大統領が日本の国会で行った演説を受けて、少なくともマイナスイメージは感じませんでした。多くの方の反応も似たようなモノであるように思えます。という事はやはり、多くの日本人にはこの手法が有効なのでしょう。おそらく。
僕とあなたの目的達成のために
本サイト『ふらとぴ』は『様々なコンテンツを楽しみながら、働くことに困難を抱えた人の自立を応援する事が出来るウェブサイト』だ。
言い換えると「働くことに困難を抱えた人の課題を解消すること」を、その目的のひとつとしているわけだ。
これを実現するためには多くの方々の協力が必要不可欠。
ゼレンスキ―大統領の名演説を参考にすると、僕は協力者の方々に対して「僕とあなたの共通点」を探り、それを相手にとってストレスにならない形で訴えなければならない。
間違っても批判的な論調や啓蒙的な発想で、物事を伝えてはいけない。
その手法は欧米(少なくともドイツ・フランス)では有効かもしれないが、日本においては受け入れらない。
日本を活動の場として定めているのであれば、そこで暮らす人々に響く方法で、言葉を伝える必要がある。
つまり、相手に感謝を伝え、相手を褒め称え、相手との共通点を語り、自分の課題を相手の課題を想起させる形でマイルドに語り、共にその課題を解決する姿勢を訴えなければならない。
しつこいくらいに繰り返しますが、実際、僕自身もその方法で語られた演説に好意的な印象を抱いていますので。
本日もふらとぴにお越し頂きありがとうございます。
『ふらとぴ』の課題感を「僕達の課題感」に昇華して伝える必要がある…。そして、皆様と一緒に解決する。頑張ります。