こんにちは。チョッピーです。
本日の記事について
今回は「100日後に死ぬワニ」の炎上を題材に「人が何がどうなると”価値が棄損された”と感じるのか?」をチョッピーが考える回の後編です。
前編では「100日後に死ぬワニ」の概要説明と「100日後に死ぬワニはどの程度炎上したのか?」の説明を行いました。 こちら↓
後編となる今回の記事では「100日後に死ぬワニ」連載終了後に行われた各種告知の内容のご紹介と、炎上の原因を考察している各種記事の紹介を行いつつ、それらを踏まえた上で「チョッピーの考える炎上理由」を説明します。最後にオマケ程度に「チョッピーの考える再発防止策」を提示して記事を終わらせて頂きたいと思います。
それではどうぞ。
「100日後に死ぬワニ」連載終了後に行われたこと
「100日後に死ぬワニ」の最終話は2020年3月20日の19:20に作者のきくちゆうき氏(@yuukikikuchi)のTwitterアカウントに投稿されました。その後、立て続けに以下の動きがありました。
「生きる」のMV投稿
「100日後に死ぬワニ」の最終話が投稿されてから42分後の20:02に以下の投稿が行われました。
【「100日後に死ぬワニ」× いきものがかり「生きる」】と題されたYouTube動画のリンクが貼り付けられたこちらのツイート。僕の記憶する限り炎上のキッカケはこの投稿です。YouTubeの動画はこちら↓
「100日後に死ぬワニ 公式」アカウントによる各種の商品展開の告知
さらに、その44分後の20:46から21:51にかけてTwitterに以下の4つの投稿が断続的に行われました。
書籍化、映画化、グッズ・イベント展開告知
楽天コレクションの「100ワニ コレクション」オープン告知
「100ワニ追悼 POP UP SHOP in ロフト」オープン告知
書籍発売日の告知
「100日後に死ぬワニ」に「電通案件」という意見が噴出、炎上騒ぎとなる
立て続けにこれらの告知がなされた結果「100日後に死ぬワニ」に対して「電通案件だったのか」という意見が集まるようになりました。
Twitterでの意見の例
togetterでのまとめの例
以上が「100日後に死ぬワニ」の連載終了から炎上までの一連の流れです。なお「電通案件」との疑いに関しては作者のきくちゆうき氏といきものがかりの水野氏は以下の動画で否定しています。
「100日後に死ぬワニ」の炎上騒ぎに関連した記事のご紹介
ここからは本記事の参考記事として「100日後に死ぬワニ」の炎上を取り上げている記事をいくつか概要と共にご紹介いたします。
「100日後に死ぬワニ」:共感とアンチ炎上とSNSの心理:電通に素朴さを壊された?
こちらの記事では「100日後に死ぬワニ」の人気の原因を「作品・作者が有する素朴さ」にあるとし、炎上の原因を「電通などの大企業の名前が出てきたことにより素朴さが裏切られた」ことにあるとしています。
共感が広がった理由の一つとして、その「素朴さ」があったと思います。
~中略~
「100日後に死ぬワニ」は、作品の良さと、作者や発表の仕方などが一つの「物語」となり、その物語性がネットのSNSと親和性が高かった(ピッタリと合った)ことで、共感が広がったのだと思います。
~中略~
「100日後に死ぬワニ」への非難攻撃炎上が起きた理由は、世間が信じていた「素朴さ」が裏切られたと感じたからなのでしょう。
電通など大企業の名前が出て、矢継ぎ早に書籍化、映画化の話題が出ました。
作品自体の素朴さだけでなく、作者やSNSを含めた「素朴な物語性」が壊されたと感じたのでしょう。
「100日後に死ぬワニ」:共感とアンチ炎上とSNSの心理:電通に素朴さを壊された?|Yahoo!ニュース 個人
「100日後に死ぬワニ」は、なぜ炎上したのか
こちらの記事では炎上の原因を「マネタイズのタイミングが余韻を壊すモノであったから」としています。
お金儲けはして良いのです。でももうちょっとだけ順番を踏めなかったのでしょうか。感動の余韻が冷める1週間後、せめて数日後に書籍化のお知らせ。書籍化ニュースのさらに後日に映画化。大きな流れができての歌手コラボ、マーチャンダイズ(グッズ化)……という、タイミングを読んだマーケティングができていたなら、炎上は起きなかったことでしょう。
「100日後に死ぬワニ」は、なぜ炎上したのか (3/3)|ITmedia ビジネスオンライン
「100日後に死ぬワニ」最終回直後に“炎上” 突然のメディア展開発表あだに
こちらの記事では炎上の原因を「マネタイズのタイミングが早かったことにより事前に仕込みがあったように思われてしまったから」としています。
今回の“炎上”のポイントは、ヤフートピックスにも採用されて大きな話題になった段階で、同作の宣伝担当が「露出がある段階で最大限の告知をしよう」としたことがあだになったことしょうか。あまりのスピード展開に事前に仕込みがあったように見えてしまい、そこが地雷になっていることです。
「100日後に死ぬワニ」最終回直後に“炎上” 突然のメディア展開発表あだに|Yahoo!ニュース 個人
「100日後に死ぬワニ」最終回が猛批判された訳
こちらの記事でも炎上の原因は「余韻を感じさせる間もなく仕込み感を与えてしまったから」としているように思えます。
作品のテーマを考えた際に、その“余韻”として残すべき時間、つまり読者が、そのテーマを自分なりに受け止めるために必要だった時間の感覚を、少しだけ見誤ってしまったのかもしれない。
~中略~
今回、最も懸念されるのは、今後『100日後に死ぬワニ』と同様に、SNSなどのインターネット上から、何らかの形でマンガや映像などのコンテンツが発信され、それが口コミで人気を獲得し、多くの人たちの目に触れるようになった時に「どうせ、これも“仕込み”でしょ?」といった形で、揶揄されやすい前例を作ってしまったことだ。
「100日後に死ぬワニ」最終回が猛批判された訳|AERAdot.
各記事の論調のまとめ
これらの記事で言われている炎上の原因をまとめると以下のようになるのではないかと思います。
- 読者の”余韻”を壊したから
- 作品自体があらかじめ企業の手によって仕込まれた企画であると思われたから
- 作品の背後に”電通”がいると思われたから
特にこの件を論じた記事の中で多く言われているのは「1」の「”余韻”を壊したから」であるように思えます。この事から今回の炎上の原因は世間的には「マネタイズのタイミングにミスがあったこと」であるように思われているのではないかと思われます。
チョッピーの考える炎上理由
タイミングの問題でも仕掛け人が電通だと思われたからでもなく「企業による仕込みが隠されていたと思われたこと」が原因
僕は個人的には今回の炎上の理由の本質的なところは「”余韻”を壊したから」ではなく「作品が企業の手による仕込みであり、それが最終回まで隠されていたと思われたから」だと思っています。なぜならば、そもそも性急なマネタイズを行うことで作品の背後に企業の存在を感じさせたところで、そのこと自体に悪印象がなければ余韻が壊れる事もないと考えるからです。
たとえば、あなたが映画館でなにかしらの感動的な映画を観たとします。あなたは感動の渦に包まれながらスクリーンを後にしました。映画館のロビーの一角にはグッズ売り場があります。そこでは、あなたを感動させた映画のパンフレットやサントラやキャラクターグッズが売られています。
さぁ、どうでしょうか。この場合、あなたの余韻は壊れるでしょうか? あるいは「映画館のロビーで感動的な映画のマネタイズ展開がされていた。とっても不愉快だった」という様な意見を見聞きした事はありますでしょうか?
少なくとも僕はその様な形で余韻が壊れた事はありませんし、その様な意見を見聞きした事もありません。むしろその場合のマネタイズは好感を持って迎え入れられる事が多いように思えます。
これは「映画館で上映されている映画作品は、企業の手によって作られている」という前提を観客全員が共有しているからだと考えます。つまり「仕込み」の存在があらかじめわかっている場合には性急なマネタイズが実施されたところで「余韻」は壊れないと僕は考えます。
言い方を変えると「”余韻”が壊れる」のは炎上の原因ではなく結果だと僕は考えています。
また、今回、仕込みを行った企業が「電通」だと思われている事も炎上の原因ではないと考えています。これは炎上の規模・勢いを加速させる要因に過ぎない。それは今までに炎上した事例の背景にいる企業が必ずしも電通ではない事から説明できると思います。
「意図に反して特定企業に利用された感」が根本的な炎上の原因ではないか
「作品が企業の手による仕込みであり、それが最終回まで隠されていたと思われたこと」が今回の炎上の原因だとすると、結局のところ今回の炎上は「ステルスマーケティングであると思われた事による炎上」だと言えます。
一般的にステルスマーケティングは「バンドワゴン効果」と「ウィンザー効果(口コミ効果)」を狙ったマーケティングであると言われています。
バンドワゴン効果とは、多くの人に人気があるもの・支持されているものが満足度を高める効果を指します。
例えばオープンしたてのタピオカドリンク専門店に女性やカップルが長い行列をつくっているとします。その店で飲むタピオカドリンクはきっとおいしく感じられます。なぜならそれだけ多くの人が買い求めるのだからきっと美味しいはずだ、と考える心理が働くからです。
【そういうことか】消費者理解が深まる行動心理学のテクニック10選|AD JOURNAL
ウィンザー効果とは、直接伝えられる情報よりも第三者による情報のほうが信じられやすくなる心理のことです。
例えば、「その服お似合いですね」と直接言われた場合に素直に喜ぶ人もいれば、何か裏の意図があるのではと疑う人もいるでしょう。一方「その服が似合っているとAさんが褒めていましたよ」と言われたらどうでしょうか。より客観的な意見であるため、その評価をより素直に受け止められるはずです。これがウィンザー効果です。
【そういうことか】消費者理解が深まる行動心理学のテクニック10選|AD JOURNAL
ステルスマーケティングではこれらの効果を狙って「あたかも多くの人に支持されているかの様な演出」だったり「関係者ではない第三者を装ったあたかも口コミであるかの様な宣伝」などが行われます。
このマーケティング方法が消費者に嫌われる理由は「バンドワゴン効果やウィンザー効果などを悪用し消費者から正常な判断力を奪っているから」だと思われます。ステルスマーケティングにひっかかった消費者は、その結果、本来であれば費やさなかったであろうお金や時間を騙し取られる事になるのです。
さらに「100日後に死ぬワニ」はTwitterというツールを媒体に連載されていました。Twitterには「いいね」と「リツイート」という2つの機能があります。これはTwitterを広告媒体とみなした場合、コンテンツ提供者にとって非常に有益な仕組みです。それぞれ「バンドワゴン効果」と「ウィンザー効果」を直接的に誘発する仕組みになっているからです。恐ろしいほどよく考えられた仕組みだと思います。
「いいね」はその名の通り投稿がどれほど多くの人に支持されているかを示す機能です。これはバンドワゴン効果を誘発します。「リツイート」は他人の投稿を自分のフォロワーのタイムラインに表示させる機能です。これはウィンザー効果を誘発します。
つまりTwitterでステルスマーケティングを行った場合、そのステルスマーケティングにひっかかったユーザは「いいね」「リツイート」をする事により無意識のうちに「ステルスマーケティングに加担する人材」になってしまうのです。
これは大げさに言えば労働力の搾取と言える気もしますし、もっと言えば個人の尊厳を毀損する行為であるとも言えるのかもしれません。
チョッピーは「ステルスマーケティングだと思われたこと」と「読者を宣伝の道具として利用した感を与えたこと」が炎上の原因だと考えている
まとめます。僕の考える「100日後に死ぬワニが炎上した理由」は以下の2点です。
- 事実がどうであれ作品自体が「企業が企画したプロジェクト」であり「ステルスマーケティングを行っている」と思われてしまった
- 発表媒体がTwitterであったことから、今まで作品に「いいね」や「リツイート」をした人に「宣伝に利用された感」を与えてしまった
この2つがキッカケとなり炎上をしてしまい、さらに「電通」という要素により炎上の規模が増してしまった…というのが今回の炎上のメカニズムなのではないでしょうか。
チョッピーの考える再発防止策
今後Twitterを利用したコンテンツマーケティングを行う場合に「100日後に死ぬワニ」で起こった形の炎上を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。
結局のところ「ステルスマーケティングであると思われた時点で負け」なのだと思います。つまり負けないためには「ステルスマーケティングであると思われない様にする」ことが大事なのではないでしょうか。
たとえば「スポンサー企業が存在する場合は、スポンサーがついた時点でそれを明らかにする」とか「連載終了後にコラボ曲を発表する場合は、そのコラボ曲が出来上がったいきさつと合わせて発表する」などの方法が考えられると思います。
これらの施策をとったところで炎上が完全に防げるとは言い切れませんが、これらを心掛けないよりかはマシな気がします。
本日の締め
今回は【「100日後に死ぬワニ」は何故、炎上したのか?を考える(後編)】と銘打ち「100日後に死ぬワニ」連載終了後に行われた各種告知の内容のご紹介と、炎上の原因を考察している各種記事の紹介を行いつつ、それらを踏まえた上で「チョッピーの考える炎上理由」を説明しました。ついでに僕の考える再発防止策も最後にちょろっと載せてみました。
僕自身「なぜワニは炎上したんだ…?」という強い疑問を抱いていたので、今回の記事を書くことで自分なりの結論が導き出せたので良かったです。皆様におかれましても本記事がなにかの参考になれば幸いです。
本日もふらとぴにお越し頂きありがとうございます。
ちなみにふらとぴ編集部もTwitterを使って各種の宣伝を行っています。僕達は露骨に「宣伝です!」とお伝えしながら宣伝をしているので少なくとも今回の形のような炎上は発生しないと思うのですが、油断はせずに、しかしながら積極的な宣伝活動は行うように心掛けていきたいと思います。応援してくださいね!