【僕の感想】第10回:書籍「地下室の手記」

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本日の対象作品はこちら↓

地下室の手記(新潮文庫)

この本の概要について

本の概要に関してはAmazonの商品ページの内容紹介に記述されていますので、そちらを参照願います。

感想

「今週の【僕の感想】の題材、何にしようかな…」と思って本棚を眺めていたところ見つけました。世界的文豪であるドフトエフスキーの作品です。僕、子供の頃から小説が好きな人だったのですが、いわゆる大衆文学ばかり読んでいたため、こういう「名作文学」と呼ばれる類の作品はあんまり読んだ事が無かったのですが、何故か本棚にあったんですよね…。Amazonの記録を確認すると、どうやら2012年に購入している様です。まったく覚えていない…。

というわけで読んでみました。そんなに時間をかけずにサクッと読めます。
しかしながらクオリティはスゴイ。感想を一言で言うと「ヤベぇ作品を読んでしまった」です。

ちなみに最初にお断りしておきますと、こういう名作文学に対する感想は「その作品の背景や作者の人生等を踏まえた考察」という体で記載される事が多いと思うのですが、僕にはそういう教養が必要とされる感想を書く事が出来ませんので普通に「この本を読んで僕が思ったこと」を書いていきます。このコンテンツは「僕の感想」なので。

さて、感想に戻ります。

この小説は「ヤバい」。
なにがって「主人公である地下室の住人の精神の下劣さ」が「ヤバい」です。

遠慮なしに表現すると、この小説の主人公たる「地下室の住人」は「プライドが異常に高いクセに勇気が無く、常に誰かに愛されたいくせに愛されるための行動をせず、その自らの醜さに対しても【いや、俺、そういう自分の下らなさもわかってるから】と自分が高みにいるかのようにふるまう事でシニカルさを演出し、自分の底を見せない演技を行い、同時にその様な自分自身の下らなさに傷つき、その傷を安い性風俗店で慰める事しか出来ないクズ野郎」です。言い方を変えると「古今東西の【小物】と呼ばれる人間の特徴をかき集めて煮詰めて蒸留させて、最終的にクソと混ぜ合わせて作り上げたかのような人格の持ち主」です。ものすごく共感できます。

なお、この小説は以下の通り2部構成になっています。

  1. 地下室
  2. ぼた雪にちなんで

「1」では「主人公自身による【自分はいかなる思想をもった人物であるか】の独白」がなされ、「2」で「主人公の身に起こったいくつかの出来事を1人称視点で語る」という構成になっています。

まぁ、要はどちらも語り手は主人公です。で、主人公は上記で紹介したような人物です。
結果、内容が、もう、とにかくヒドい。主人公自身の考え方もヒドいし、紹介されるエピソードにおける彼のふるまいも発言も、その全てがヒドい。

おかげで「いたたまれない気持ち」がとめどなく湧き上がってきます。
まるでドストエフスキーから「お前にも、こういう面があるだろ。どうだ、醜いだろ」と言われている気分になれます。暗い部屋で誰かに見つめられているかのような気持ち悪さ。さすがは世界的文豪です。気持ち悪さのクオリティが凄まじい。

「いたたまれない気持ち」や「徹底的な気持ち悪さ」を味わいたい方にお勧めの1冊です。

以上です。

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