【げぇむのよこみち】第92回:『NOSTALGIC TRAIN』…それは全日本人のDNAを揺さぶるノスタルジー

げぇむのよこみち

こんにちは。昭和、平成、令和と3時代を渡り歩く、横道それ夫です。

今回は久しぶりにインディーズ作品のレビュー記事をお届けします。

ストーリーのネタバレは含みません。購入前の参考にもどうぞ。

※なお本レビューの内容はPlaystation4版に準拠します。

NOSTALGIC TRAIN

概要

畳部屋さんという個人開発者による作品です。(リンクはご本人のTwitter)

2018年にSteam、その後2021年にNintendoSwitch、Playstation4(5も対応みたい)版がリリースされ、つい先日Xbox版も発売されました。なので、おおよそすべての現行プラットフォームで遊べます。

美しい田園風景を巡るノベル&ウォーキングシミュレーター

ノスタルジックトレインは日本の田園風景の中で、消えた「夏霧」の人々と「私」の謎を解き明かしていく、少し切なく幻想的な一人称視点のアドベンチャー/ウォーキングシミュレーター。 ストーリーモード「旅の終わりに二つのゆらめき」と夏霧の世界を自由に歩き回ることができるフリーモードを収録。 日本のインディーゲームクリエイター「畳部屋」がおくる「切ない物語」と「懐かしくも美しい景色」の織り成す幻想世界にゆったりと浸ってみませんか。

※第22回文化庁メディア芸術審査委員会推薦作品※

【ストーリー】

眩しくて目が開けられない。 セミの声と湿度の高い空気に全身が包まれる。微かに混じる潮風の匂い。 古い駅舎の木のベンチに座っている。 ここはどこだろう、何をしていたのだろう……。 懐かしいような田舎の風景。 「夏霧」と書かれた駅。 単線の鉄道。 光の中から放り出されたように目を覚ました私は、記憶を失っていた。 不思議なことに、この見知らぬ土地には誰の姿も見当たらないのだった……。

NOSTALGIC TRAIN | ATAMA GAMES

引用元にもあるように、本作は一人称視点で描かれるアドベンチャー作品です。

コントローラーの左スティックで前後左右の移動、右ステックで視点の移動が基本的な操作です。

この一人称視点の操作ってゲームに慣れていない人からすると複雑で困惑するそうですが、本作は急かされる要素が一切ないので、操作に不安があったとしてもまったく問題ありません。

ゆっくりのんびり遊べるスタイルの作品です。

なお、これまた引用元にありますが、本作は「第22回文化庁メディア芸術審査委員会推薦作品」とのこと。2019年の文化庁メディア芸術祭に出展された作品だそうです。

サザンオールスターズやモンスターハンターと共に、エンターテインメント部門受賞作品一覧に名前を連ねていました。凄い!

ちなみに、本作が出展された年のエンターテインメント部門大賞はあの『チコちゃんに叱られる!』。

いいところ

  • ノスタルジー オブ ザ ノスタルジー

舞台は「夏霧」という町ひとつなので、ゲームのフィールドとしては決して広いとは言えませんが、個人制作とは思えない説得力のあるグラフィックは多くのプレイヤーを魅了するでしょう。

そこには、世代的には僕くらいの年代(30代後半)であれば「知っている」、それより上の世代であれば「体験している」かもしれない「昭和」の世界が広がっています。

僕は地方生まれ地方育ちですが、そこはいわゆる田畑広がる「田舎」ではなかったので、本作の風景にノスタルジーを感じることはなさそうなものですが…。感じます、ノスタルジー。

この景色は、絶対、きっと、たぶん、全日本人のDNAに刻まれたノスタルジーを揺さぶります。

2000年代東京生まれ、みたいなゴリゴリのシティ派も歴史博物館に来たつもりで遊べます。

  • 丁寧に作られた映画のようなストーリー

本作をクリアするのに要する時間はストーリーモードで約2時間。なお分岐はありません。

このボリュームをどう捉えるかは人により様々かと思いますが、ストーリーモードは一本の映画を見る感覚でプレイして欲しいと思います。

いったい何なの?これはどういう意味?あれ、もしかして…。ああ!みたいに、徐々に明らかになる「夏霧」の真実は必見です。

  • フリーモードの昭和豆知識

ストーリーモードとは別に、「夏霧」を自由に散策できるフリーモードもあります。(メニュー的にはこのフリーモードが一番上にあるので、本来このモードがメインだったのかも…?)

このモードでは「夏霧」という町の舞台設定に加え、昭和の時代にあった色々なものについての豆知識が紹介されています。これを読むだけでも結構楽しめます。

自販機のジュースはいつから缶なの?空地の土管ってなんなの?

みなさん、知ってました?

ちょっとダメなところ

  • アクション要素はほぼ意味をなさない

一応、「走る」「しゃがむ」「ジャンプ」という基本的なアクション要素が備わっていますが、「走る」以外の2つは作中で特に活躍する場面はありません。

だからこそプレイヤーの間口が広がっているとも言えるので、ネガティブ一辺倒ではないです。

それに意味はないけど、ごっこ遊びには活用できます。

電車の座席付近でしゃがんでシートに座っているごっこをしたり、普通にバシャバシャと通れる川の傍らにある飛び石をジャンプで跳んで水に落ちたら死ぬごっこをしたり…。

  • 次の目標地点がやや分かりにくい

例えば、「浜辺で何かあったらしい」みたいな場面があるのですが、ただ「浜辺に行く」だけでは物語が展開しません。

そこに向かうまでの道中(駅前→バス停→駐車場→浜辺みたいな)で起きるイベントを読み進めて、はじめて浜辺でのイベントが発生します。

イベントが発生する場所を視認できるコマンドがあるので、ちゃんと周りを見れば分かることですが、ゲームに慣れて町の構造や建物の位置関係が分かってくれば人はショートカットをしがち。

そんなときに「あれ?浜辺に来たけど何もないじゃん」みたいなことが何度かありました。

田圃を突っ切らず、道を歩きましょう。

まとめ

1,500円程度という価格帯も相まって、ほんと映画みたいな体験をしました。

巧みなストーリー展開で、誰もが抱きうる「郷愁」という感情を優しく、悲しく呼び起こしてくれます。

とても満足度の高かった本作の評価は…

星5つ!!★★★★★!!

あなたのノスタルジアもここにある。

今日もふらとぴにお越しいただきありがとうございます。ではまた!

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