こんにちは。元アイマスPの横道それ夫です。
今回はアイドルプロダクション経営SLG『アイドルマネージャー』のレビューをお届けします。
ストーリーについてのネタバレはありません。
なお、ネタバレではありませんが主観に基づくゲーム序盤の攻略情報を少しだけ含みます。
今回プレイしたのはSteam版ですが、ゲームの基本的な部分や面白さについては他ハードでプレイする方にも参考にしていただけると思います。
アイドルマネージャー
概要
GlitchPitch(Twitter)というロシアの開発スタジオの作品です。販売元はPLAYISMというパブリッシャー。
2021年7月にSteam版がリリースされました。価格は1,980円です。
2022年8月25日には、NintendoSwitch・Playstation4&5版も発売されています。
こちらのダウンロード版価格はハードごとに若干異なり、NintendoSwitch版が2,980円、Playstation4&5版が2,479円。それぞれパッケージ版も発売されています。
将来有望な、小規模タレント事務所のマネージャーになろう!
次世代の若きポップスターを育成しながら誰を雇うかや誰を切るか、誰を出世させるか、そして不祥事があった時に誰に責任取らせるかなど、様々な決断をしなければならない。
事務所に所属する若いセレブ達の私生活の管理もあなたの仕事の一部でもあるが、アイドルの人生というのは決して幸せなことばかりではない。
アイドル一人ひとりの個人的成功はあなた自身の商業的成功となるが、その反面、精神的に崩れたり、不祥事を起こしたりしてしまうと会社にとって財政危機ともなりうる。
しかし心配しなければならないのは、所属アイドルたちだけではない。
この業界にはスキャンダルに飢えているゴシップ雑誌や極端なアイドルおたく、ライバルグループなどでいっぱいだ。
あなたの事務所とその所属アイドルたちを、どんな汚い手を使ってでも倒したい連中があちこちに潜んでいる。
だからといって決して諦めてはいけない!これは、アイドル業界の「普通」なのだ。
アイドルマネージャー | Steam
ジャンルは経営SLG(シミュレーションゲーム)。
基本的にはマウスのスクロールと左右のクリック操作のみで完結するシンプルな操作性です。
他社のアイドル育成ゲームに見られる、音楽に合わせてボタンを押したりルーレットを止めたりといった反射神経を必要とする要素は全くありません。
アイドル育成よりプロダクション経営の方がメインです。『シムシティ』や『信長の野望』みたいなものをイメージするといいかも。
さらに、これまた他社のアイドル育成ゲームと異なる要素として、アイドルのちょっとダーティなゴシップやスキャンダルが作中に数多く登場します。
日本言語対応・パートボイスあり
Steam版は通常プレイについては日本語に完全対応しています。
Steam版はMODによる拡張機能があります。そちらは作成元の言語がベースになっているので、導入することで日本語以外の言語になってしまう可能性もあります。
また、パートボイスではありますが日本語音声もあります。
主要人物である保田ココナ(女性ライバル)や不二本さんは声も演技もキャラクターの雰囲気とよくマッチしており、かなり良いです。
アイドルたちの音声は「プロデューサーさん!」「あれー?」といった短いワードばかりですが、愛着を持ったり、非情な判断を躊躇わせたりするには十分な魅力を発揮しています。
本作のアイドルたちは『アイドルマスター』シリーズみたいに一人ひとりに専用キャスティングがされている訳ではありません。
プレイ時間は20~∞時間くらい
経営SLGというジャンルに恥じないボリュームです。
複数章で構成されたシナリオを進めて、スタッフロールに至るまでが約20時間。
シミュレーション部分はシナリオクリア後も継続できます。
また、ストーリーモード以外にシミュレーションパートに特化したフリーモードもあるので、遊ぼうと思えば無限に遊べます。
ジャンル的に合う合わないは大きいと思いますが、ハマれば十数時間はアッという間に溶けてしまいます。
僕は始めて2日でプレイ時間が20時間を超えました。生活サイクルに支障を来すレベルでゲームしたのは久しぶりです。
本作のいいところ
シナリオがかなり秀逸である
本作は経営SLGの皮を被ったテキストアドベンチャーである、というのが僕の持論です。
それくらい本作のシナリオ部分はよくできています。
今回レビューするまでにクリアしたのは2ルート※のみですが、いずれも読み物としてメチャクチャ楽しめました。※シナリオ途中あるいは後半から複数ルートに分岐します。
特に、ライバルとのやりとりをメインに描くルートは、様々なアイドル作品へのアンチテーゼか、あるいは新しい「アイドル観」か…。他のアイドル系作品とは一線を画す内容です。
また、全体的にセリフ回しが知的で、いわゆる「ドタバタ日常」感がなく、高い知性と豊富な知識を備えた大人たちの駆け引きが楽しめる緊張感高めな内容になっています。
シミュレーションパートの中毒性
本作は簡易なチュートリアルを終えたら、以降は特段の説明なくシミュレーションパートが本格始動します。
序盤は何をするにしてもお金が足りず、パトロンや銀行から借金しまくることになるのですが、その試行錯誤がメチャクチャ面白いです。
逆に中盤以降、資金面に余裕ができてからはCD売り上げを増やすための広報活動や、アイドルのファン層拡大のための営業活動など、更なる高みを目指すためにあの手この手を考えていく面白さがあります。
CD売り上げ100万超、姉妹ユニットの結成、総選挙の全国放送など、色々なことができて止め時が見つかりません。夕方に始めて気づけば朝とかザラ。
序盤のちょっとしたコツ
以下、序盤の攻略に役立つかもしれない情報を箇条書きにします。序盤で躓いているなら、少し意識してみると進行が楽になる可能性も…。(あくまで個人の主観です。)
- 借金はチマチマ借りず一度にガッツリ。
- 借金してでも「休憩室」は早めに。
- スタミナはファン数を増やすために使う。
- 金を生む手段はCD売り上げ。
- 例えば、スキル「遅咲き」はかなり優秀。
5番目はチュートリアルのオーディションではゴールドランクのアイドルが確定することを利用したいわゆるリセマラによるスキル厳選です。オーディションの厳選リセマラはチュートリアルに限らず本編中常に可能です。ただ、キリがないしバランスも崩しかねないのであまりオススメはしません。
あと、序盤の話ではないのですが、CD発売時のマーケティング成否は一見ランダム性の高いルーレットですが、かなり早い段階で内部データが確定しているようです。リリース前にセーブして成功するまで再ロードといった姑息な手段は使えません。
アイドルたちがカワイイ
本作のアイドルには明確なキャラクター付けがされていません。
普通のアイドルゲームだと、その「キャラクター」を売りにすることが多いですが本作は違います。名前、見た目、スキルがランダムに設定される、いわば記号の集合体です。見た目については、スタイリストさんを雇用すれば髪型と衣装は複数パターンから選んで自由に好きなタイミングで変更できます。
そして、この娘たちはとにかくアレやコレやと問題を起こします。
- グループ内で派閥を作る
- 後輩をイジメる(先輩もイジメる)
- お笑い芸人とのデート写真を流出させる
- ゲーム実況でファンに暴言を吐く
- SNSで大物芸能人の名前を間違える
- ユニットの並びで後ろの方だと「えー」とか言う
などなど。
これらのトラブルは、場合によっては数千万単位の違約金発生や数万単位のファン流出、関係スタッフの懲戒解雇に繋がるので、問題を起こしたアイドルはホントぶん殴ってやろうかと思うくらいです。
ホント…ゲームでよかったよ。
一方で、アレコレ問題を生むからこそ却って人間味があるとも感じます。
だって、10代~20代の女の子たちが清廉潔白・品行方正であることの方が稀ですよね。たぶん。
ウンコしないアイドルもいませんもんね。たぶん。
彼女たちに対して、こういった問題を解決するのが大人の役目だと思いながら関わっていると、そのうち彼女たちは輝きだします。
問題行動を起こしていたジャリガキが数年後にセンターに立っていたり、かつてナンバーワンだった娘が最後列でも文句を言わず後輩を支えていたり。「卒業します」とか言われたらホント寂しい。
明確なキャラクター付けが為されていないことにより、却ってプレイヤー側でいろいろ脳内設定を楽しめるのがいいですね。
みんなカワイイ!!
プロデューサーに大事にされてる後輩アイドルが気に入らないんで虐めてます。この前SNSで炎上しちゃってドラマ降板させられました。恋愛禁止だけど彼氏います。その彼氏とのデート写真が流出しちゃって大変です。ねぇプロデューサー、なんとかして♡
お前は解雇だ。
本作のちょっとダメなところ
絵面が地味
シミュレーションパートの絵面が地味すぎて、パッと見て「面白そう!」と思いにくいのが残念です。
実際、僕も発売当初の公式動画を見てもイマイチ食指が動きませんでした。
『シムシティ』なら都会の街並み、『信長の野望』なら城下町や有名武将など、ビジュアル面から伝わる魅力がもう少しあればもっと多くの人に魅力が伝わるでしょうに。
傍から見ている人には「何が面白くてやってんだコレ」となりがち。
今の時代に「配信映え」しなさそうなのは痛いですね。
気になるバグが少々…
- CDの製作枚数が入力できなくなる
- 配置したスタッフがタスクを遂行しない
ある程度ゲームを進めていると細かなバグが起きます。
基本的にはセーブ&ロードで解決できるので進行するうえで大きな支障はないのですが。
些細なことです。
ハマるかどうかはアナタ次第だが
数年ぶりに「ゲームして徹夜」をすることになった作品です。
シナリオは面白いし、アイドルもなんやかんや可愛いし、素晴らしいです。
ジャンル的にも話の内容的にもプレイする人を大いに選ぶ作品ですが、個人的にはメッチャクチャ面白いです。
新しい切り口からのアイドルゲーとして、多くの人に支持してもらいたい傑作ですね!!
僕の自慢のアイドルユニットについて、脳内設定まで含めて延々と語りたい。
横道それ夫がドハマりした本作『アイドルマネージャー』の評価は…
星5つ+さらに5つ!!!★★★★★★★★★★!!!!
100点満点の120点ってやつです!!ホントおすすめ!!
今日もふらとぴにお越しいただきありがとうございます。ではまた!