【今日の山頭火さん】第33回:12月15日の山頭火さん

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December 15,2022 #33 92 years ago あてもなくさまよう笠に霜ふるらしい
12月15日の山頭火さんの画像です
12月15日の山頭火さん

山頭火さん、熊本市を彷徨い中。

そんな日の一句。

あてもなくさまよう笠に霜ふるらしい

山頭火さんが、熊本から旅に出たのは九月です。

三ヶ月で戻って来ちゃいましたよ。

日記にはこうあります。

『百余日さまよいあるいて、また熊本の土地をふんだわけであるが、さびしいよろこびだ』

帰る家も、宿代のお金も無く、この夜は、駅の待合室で寝ています。

私も昔、駅を一夜の宿にしたことがあります。

何度かあるのですが、大抵は小さな無人駅です。

バイクで旅をしていた頃のはなしです。

最終列車が行ってから、寝袋にくるまって眠り、始発がくる前に出発です。

待合の硬いベンチや床で眠ります。

最終列車が駅を離れ、人がいなくなっても、何故か人の気配はしばらく残ります。

時間が経ち、人の気配が夜に溶け、埃っぽくて、少し黴臭い空気だけが漂う頃、眠りに落ちます。

どの駅も、今はもう廃線になった路線にありましたから、

あの駅舎たちも、無くなっていることでしょう。

山頭火さんの日記を読んでいると、自分の記憶を呼び醒ますような記述に時々出くわします。

そんな時、頭の中というより、体のどこかが憶えていた感覚が蘇りそうになります。

しっかり蘇って、感覚を取り戻してしまうと、今後の人生がややこしくなりそうなので、そっとしておくようにしています。

私の場合は笠ではなく、ヘルメットですが。

あてもなくさまようメットに霜ふるらしい。に、なると困りますからね。

山頭火さんの言う、『さびしいよろこび』は危険極まりないです。

数日後の日記を読み進むと、山頭火さん、行くあてが無くなって、元奥さんの家に泊まったふしがあります。

焼けぼっくいにキャッチファイヤーは、危険極まりないですから、人生ややこしくなりますから。

そっとしておいた方がいいんじゃないかなぁ。

もどって来ちゃいましたか。そうですか。

会いたい人でもいましたか。そうですか。

でも、すぐ出て行っちゃうくせに。

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