山頭火さんは、秋の一日を其中庵にて過ごしています。
夕焼ふかく何かを待つてゐる
改作とあります。
松尾芭蕉の句。
『閑さや岩にしみ入蝉の声』
初案は、『山寺や石にしみつく蝉の声』だったそうです。
さらに、『さびしさや岩にしみ込む蝉の声』になり、現在のかたちになったのは、ずいぶん後らしいです。
山頭火さんも時々、改作という断りをつけて句を日記にのせています。
俳句のイメージとしては、「そこで一句」的な言い方をするので、一発勝負な感じがしますが、実は、しぶとく考え続けるものなんですね。
山頭火さんの初案は見つけられなかったのですが、ひょっとすると、生き続けていたら、また改作したかもですね。
生きていれば、いくらでも変えていけるんです。
待っていますか、そうですか。
待ちぼうけでしょうか、違いますか。
まだ、待ちますか、そうですか。