山頭火さん、其中庵で秋を迎えようとしています。
星がまたゝく山こえて踊大皷の澄んでくる
太鼓の音は邪気を払うといいますから、辺りの空気が清められましたかね。
山頭火さん、『大皷』と表記していますが、これ、太鼓の事と解釈するのが自然ですかね。おどりだいこ。
しかし、大皷(おおつづみ)という楽器も存在します。そっちかも。
能とか歌舞伎で使う、皷(つづみ、鼓)。それの大です。お笑い芸人、すゑひろがりずが持ってるのは小鼓。あれは小です。
太鼓とするか、皷とするかでは、随分印象違います。
その響きで、空気が澄んで張り詰める感じがしたのなら、つづみの方が気分ですかね、わたし的には。
踊れるかというと、踊りにくそうですが。
山の向こうから微かに届く、賑やかそうな踊り太鼓の音。
こちらは、こちらで、夏の終わりの物悲しさあります。
隔たりは、その空いたところに悲しさを引き寄せますからね。
ゲームセンターの太鼓の達人も、離れたところで聞くと、もの悲しいですものね。
ちょっと意味が違うか。
山の向こうの夏の果て。
遠い大皷。
夏仕舞いですか。そうですか。
肌の日焼けの色も褪めてきましたか。そうですか。
瞬く星の夏は、百億光年の彼方で、ずっと続いているでしょう。