山頭火さん、関門海峡を渡り、別府、由布院を経て現在は大分県日田にいます。
日田は、寅さんこと車寅次郎もやって来た街です。
『第43作 寅次郎の休日』ほぼ日田が舞台で色々な風景が見られます。
マドンナは夏木マリさん。
寅さんと山頭火さん、ちょいちょい行った場所が被るんです。
このへんの話、またいつかまとめて書いてみたいと思っていますが、
今日のところは、長くなりそうなので、山頭火さんの句にもどります。
川風さむみおちつかないてふてふ
日田には、水を豊かに湛えた三隈川が流れています。
句の場所は、おそらく三隈川のほとりですね。
『川風さむみ』は、川風が寒いので、ぐらいの意味でしょうか。
この日は、春のお彼岸最終日ですから、本来ならまずまず暖かいはずです。
春が来たと思い、さなぎから羽化した、てふてふ(蝶々)。
しかし、寒の戻りか、この日は寒い。
周りに花は咲いていないし、他のてふてふも飛んでいない。
まずいな‥ちと早かったか。と、蝶が思うかどうかは分かりませんが、
少し慌てたてふてふが、花の蜜やパートナーになる蝶を求めて、
河岸をあっちに行ったり、こっちに来たり。
そんなてふてふの姿が、山頭火さんには、落ち着きなく不安げにみえたのかも知れません。
あるいは、寒い風に吹かれる、てふてふの心許ない姿に、自分が重なってみえたのかも。
胡蝶の夢、過りましたか。そうですか。
山頭火さんも落ち着きませんか。そうですか。
春ですね。