秋も深まる中、山頭火さんは其中庵です。
たそがれる木かげから木かげへ人かげ
影は無彩色の黒色なので、明度だけしかありません。
濃いか薄いかだけです。
色の三属性、残りの二つ、色相と彩度がありません。
簡単にいうと、色が無いということです。
初めから簡単に言うべきでした。すみません。
影には色がありません。
でも、この季節になると、なぜか、私は影に色を感じることがあります。
昔、今頃の季節にバイクで旅をすると、陽が傾くのが早いからでしょう、夕日を背中から浴びながら、走るという事が度々ありました。
黄昏時、夕日の作る影は、実物より大きくなります。
この、大きくなった自分の影を見ながら走るのは、なんとも、心地のいい、楽しいものでした。
自分の影に手を振ったり。足を広げてみたり。
(危ないので真似しないでください、若い頃の話ですから)
自分の影なのに、ちょっと他人を感じました。
影は旅の連れだったのかもしれません。
そして、こんな時の影は、ただの無彩色の黒ではなく、いろんな彩があったと思います。
今も、この季節、少し薄くなった影にふと色を感じる事がありますが、昔のような鮮やかさはありません。
山頭火さんも、夕日を背に受けながら、自分の影を旅の道連れに、木陰から木陰へ歩いたのかもしれませんね。
影が薄くなりましたか、そうですか。
年月のせいですか、ちがいますか。
秋のせいですか、そうですか。