こんにちは。全部大好き、チョッピーです。
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書籍の概要
2020年3月17日に設立された「ひろのぶと株式会社」という新しめの出版社が初めて発行する1冊。
2022年10月31日(月)発売。
著者は稲田万里(いなだまり)。彼女にとってもこれが処女作。
著者がコスモ・オナンという名前で note に掲載している「日曜興奮更新」の作品を中心に、書き下ろし一編を収録した短編集。
恋、仕事、友人、家族……。淡々と生きてきたつもりが、導かれるように出会い、巻き込まれていく——。ほのかに揺れる心と理不尽で理解の追いつかない状況を、冷静にも芳醇に切り取る女性「コスモ・オナン」の18の物語。
全部を賭けない恋がはじまれば | Hironobu&Co. (ひろのぶと株式会社)
はじめに注意 – 僕ことチョッピーは「ひろのぶと株式会社」の株主です
最初に注意点をひとつ。
見出しに書いている通りなのだが、僕ことチョッピーは「ひろのぶと株式会社」の株主である。
なので、今回の感想においては身内びいき的というか、最初から好感を持った状態で書くと言うか…まぁ、有り体に言えば良い事しか書かない。
何故か?
だって、この書籍の売れ行き次第で僕への配当の額が決まってくるかもしれないから…。
だから、この感想は「この文章を読んで頂いた方の多くが、この書籍を買ってくれると嬉しいな!」という考えを持った人物が書いている点を念頭に置いて、お読み頂きたい。
「変なバイアス抜きの正直な感想が読みたいんだけど」という方はAmazonレビューなどをお読み頂ければ助かります。もしくはSNS等で書籍名で検索するとか。もちろん僕も可能な限り正直に書くつもりではありますが。
感想
表紙がきれい
さて、そんなわけで僕はこの書籍をかなりの気合を入れて購入した。
どのくらいの気合かと言うと、ワザワザ阪急で大阪府箕面市から大阪梅田駅まで30分くらいかけて出向き、構内に入っている紀伊国屋書店梅田本店で事前に予約をしたくらい。
それ、そんなに気合いるか…?
いる。絶対にいる。
というのも、僕は普段、紙の本を買わない。
電子書籍主体の読書に移行してから、もう、かれこれ10年は経っている。
その僕がワザワザ紙の本を買うために事前予約をする!
これは僕にとっては本当にスゴいこと。いつもだったら絶対にしない。
ただ、この本は紙で買ってよかったと思う。
なぜかって装丁がムチャクチャきれいなのだ。
リップを塗っている途中の唇がとても特徴的。
これ、実際に紙の本の唇部分を触ると少し盛り上がっていて、なんだか本物の唇を触っている様な気がして興奮してしまう。
『興奮してしまう』のはチョッピーだけの特殊な感想かもしれません。
そのような特殊な装丁を抜きにしても、単純に色合いがムチャクチャきれい。
画像だとそれが十分に伝えられないのがもどかしい…。
書店で見かけた際は、是非、お手に取って確認してみてください。あなたも興奮するタイプの人間かもしれませんし。
また、帯を外すと、
表紙の下部にはダークな色調が刺し色的に効いていてクールでカッコいい。
「一皮むくと印象が変わる」ところも、なんだか示唆的で面白いデザインだと思う。
読んでみた
ひとしきり表紙を愛でたので、いよいよ本を開く。
最初に占い師コスモ・オナンからの短い挨拶が載っている。
期待が高まる。
次のページを開くと『プロローグ 新年一発』なる短編が載っていた。
いよいよ物語が始まる。
数分後…
いや、なにこれ面白いな! なんだろうね、刹那的な恋愛というか、若さゆえの破滅的な生活の記録と言うか…純文学の香りのする良質エンタメ小説じゃん!
これは本当に株主としてのひいき目を抜きにしても面白い。とても面白い。
こうなると株主としての金銭欲もムラムラと膨らんでいく一方だ。
そんな色々な期待を込めて次のページをめくると、そこには目次が。
いきなりクソデカフォントで
「性欲」
の二文字が目に飛び込んでくる。
さらに、そのすぐ隣には
「パイパン事件」
と書かれている。
どうやら記念すべき第一章のタイトルが「性欲」で、その第1話のタイトルが「パイパン事件」らしい。
おおおおぉおぉおーーーーーい!!!!!!
僕は叫んだ。
いや、実際には叫んでいない。丑三つ時に読んでいたから。
僕は過去に深夜にゴスペラーズの『ひとり』を友人と一緒に練習していたところ、近隣住民から「ドラッグパーティが開催されている」と勘違いされて警察を呼ばれた事がある。
同じ轍を踏みたくはない。
しかし、しかしだ。
この本は本記事冒頭で紹介した通り著者にとっても「ひろのぶと株式会社」にとっても、初めてとなる書籍だ。
しかも、発売前には社長直々に『私は、魂の置き場所を作ろうと思った。』とか『稲田万里は、僕の夢だ。』とかのハイパーカッコいいお言葉を ↓ の記事で書き記されていた。
だから、心の中で叫んだ。
え、なんだろう。
魂が
性欲
で、夢が
パイパン
なのだろうか。
本当に?
え、大丈夫なん? これ。
僕の配当、ホントに期待できる????
一気に感情がグチャグチャになってしまった。
と、とりあえず気を取り直して普通に本編を読もう。大丈夫、note や Twitter の投稿を読む限り、下ネタは彼女の持ち味じゃないか…。
というわけで、読み始める。まずは「パイパン事件」からだ。
数分後…
いや、面白すぎる。下ネタ多めのさくらももこかよってくらい笑えるわ。
そのまま続いて「坂道」「下味」「予習復習」を読む。これで第一章はおしまい。
あー、第一章、死ぬほどコミカルじゃん。クッソ笑える猥談っていうか…。面白すぎる。
そのまま「第二章 恋心」を読む。
え、なにこれ切な…。特に第二章第二話の「前髪」スゲー好き。
「第三章 流転」を読む。
うーん、人生色々だねぇ。僕とは全く違う人生模様で面白い。
「第四章 上京」。
あー!!! こっちは打って変わってよくわかる! 僕も九州から上京した経験があるからホントにわかる! back number の『東京の夕焼け』が聴きたくなっちゃう! もしくは槇原敬之の『遠く遠く』!
「第五章 幼少」。
いや、壮絶なお話…。これを書き切る筆力よ。
「第六章 一周」。
はー…。なにこれ、仏教の経典? いや、僕は仏教徒ではないけれど…。スゴいクオリティだわ。
3時間ほどで読み終えた。
内容は深く面白く、文章はサラリと読みやすい。
やはり、この短編集は純文学の香りのする良質エンタメ小説であるように思えた。
読み終えた感想
この本、読む人の立場によって色々な読み方が出来る気がする。
著者と同じく若い女性であれば、作中の主人公に共感して楽しく読めるかもしれない。
一方、作中に登場するような遊び人の男性であれば、自分が女性からどう思われているかを知れて、戦慄するかも知れない。
妙齢であれば、若々しい世界観に触れて新鮮な気持ちになれるかもしれない。
チョッピー自身はどう読んだの?
僕は…37歳男性で、かつ、遊び人でもないので、上に挙げたどの層にも該当しないのだけれど…。
そうだね…。
「ネガティブな感情を作品として昇華させる凄み」みたいなモノを感じられて、それが勉強になったし面白かった。
この短編集、1話完結型のお話が連続して続く構成になっているのだけれど、そのどれにも共通するテーマみたいなモノが縦串として数本、貫かれている気がする。
そのうちのひとつは間違いなく「怒り」。
これに関しては著者自身も ↓ の記事で『私よりも凄い文章を書く人は沢山いる中で、なぜ私が書いてるのか、そこには私の中の怒りがあるからです。』と述べている。
言ってしまえば、この書籍は著者からのある種の復讐なのではないかとも思う。
何への?
おそらく今まで関わってきた(自分自身を含んだ)全てへの。
だから、この作品に登場するキャラクターは全員が例外なく滑稽なのだ。
だがしかし、同時に著者はそれらに対して見切りもつけてはいない。たぶん。
だから笑えるし、切なくなるし、興味深いし、共感できるし、戦慄できるし、感嘆できる。
少なくとも僕にはそんな風に読めた。
まとめ
というわけでこちらの書籍、発行元の株主としても、そのような事情を抜きにしても文句なしにおススメできる一冊だ。
リアルの書店でも Amazon でも「ひろのぶと株式会社」のオフィシャルショップでも買える。
お好みの方法で是非、お買い求めください。
…ちなみに、実は今、僕自身も著者から「せっかくの処女作なのに、自分の利益(配当)を前面に押し出した感想文なんか書きやがって…しかも内容も的外れなんだよ…!」と怒られているのではないか…と若干の不安感を覚えている。
まぁ、仮にそうだとしても、きっと著者はその怒りも良質な作品に昇華してくれるのではないか。次回作とかで。知らんけど。
そのくらいの信頼感を与えてくれる書籍だった。
以上です。
※編集部注:「ひろのぶと株式会社」の株主なのはチョッピー個人であり、『ふらとぴ』および、その運営会社である株式会社Egeneは株主ではありません。