【今日の山頭火さん】第75回:8月22日の山頭火さん

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August 22,2024 #75 91 years agoあすのあさの水くんでおくかなかな
『今日の山頭火さん』第75回で利用する画像です
8月22日の山頭火さん

山頭火さん、夏の終わりの其中庵です。

あすのあさの水くんでおくかなかな

お盆に、実家に行ってきました。

こう書くと、田舎に帰省した感があるのですが、車で、20分です。

でも、山の方へ向かうので、緑は、住んでいる所より、はるかに濃いです。

夕方、風鈴の音に混じって、実家の窓の外から、蝉の鳴く声が聞こえてきました。

カナカナカナ~

カナカナカナ~

クマゼミの季節が終わり、ヒグラシの声です。

ずいぶん久しぶりに聞いた気がします。

かなかなか。

子どもが初めて作った回文みたいになってますが。

かなかなです。

あの山頭火さんの句の最後と同じ、かなかなが、鳴いてました。

実は、最初に読んだ時、「あすのあさの水くんでおくかな、かな(明日の朝の水、汲んでおくかな、かな)」という風に読みました。

山頭火さんが首を二回、かしげている姿が目に浮かびます。

水汲んどこうかな、どうしようかな、ま、明日でいいか、そんな独り言的なことかと。

くんでおくかな。どこで切って解釈しとるねん、って話です。

バカなんでしょうか。俳句の鑑賞力0ですね。

でも、これ初見で鑑賞するの難しくないですかね。そうでもないか。

夏井いつき先生なら、これ一発鑑賞、速攻解説でしょうけど。

定型の俳句とは違い、五七五と、言葉の切れ目がはっきりしてないですからね、

自由律俳句。そこ自由ですから。

自由、ややこしくなりがち。

というか、ひらがなが多いのも、ややこしい。

わざとかな。

夕暮れ時、明日の水を汲みに、井戸の方に出てみると、かなかな(ヒグラシ)が鳴いていた。という情景ですね。たぶん。

かなかなの声の下。

明日の準備をしようとしている山頭火さん。

かなかなも、明日のこととか考えているのか。そんなわけは無いか。

今を全力で生きているだけか。そもそも、明日を知らないか。

今、明日の心配をしているわたしはどうだ、気ままに、自由に生きている、わたしは今日を精一杯生きたか。どうだ。

自由、実は、ややこしいやないかい。

なんてね、思ったんですかね。

蝉は、明日のことを思ったところで、朝には、命が尽きているかもしれませんからね。

かなかなの鳴き声、夏の終わりの夕暮れによく似合って、物哀しいです。

実家では、日が暮れる頃、気づくと、かなかなの声は止んでいました。

鳥にでも食べられましたかね。

山頭火さん、次の日、二十三日の日記は、『今朝はすっかり秋だつた』で始まります。

二十二日、カナカナの声に送られて、夏が終わったようです。

私の家のあたりは、まだまだ暑いですが、暑さの質は変わったように思います。

先延ばしにしますか、そうですか。

諦めてしまったのではありませんか、ちがいますか。

明日は約束されていますか、どうですか。

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