今日の山頭火さんは、其中庵の日々です。
日に日に、日射しが強くなってきます。五月十九日です。
紫外線も多くなり、草木の緑が鮮やかになるにつれ、その影も濃さを増していきますね。
そんな日の一句。
影もはっきりと若葉
実体だけでなく、影の中にも、若さや老いは現れるんですね。
少なくとも、この日の山頭火さんには見えたんです。はっきりと。
というか、それらは影の中にこそ現れるのかもしれません。
私も、鏡の中に亡くなった父親が映り、ぞっとしてよく見たら、
自分だったことがあります。鏡に映る姿は影の一種ですからね。
自分で気づかない、老いや若さは影の中に現れます。
影に気づかされます。
今日の日記では山頭火さん、前歯が抜けているんです。
若い葉と老いた歯。そんな『は』の対比、若さと老いの対比が私には浮かびました。考えすぎか。
山頭火さんは、自分の影に、はっきり老いが現れていること、隠せないことを、
知ったんだと思います。
日記の中に、『人生は五十からだ、少なくとも東洋の、日本の芸術は!』と、
書いています。びっくりマークつきです。
おそらく、空元気です。違うか。
影、濃くなってきましたか。そうですか。
影の中に何か見えますか。そうですか。
あなたの影はどうですか。