山頭火さん、其中庵で深まる秋の日を過ごしています。
草もかれゆくこうろぎとびあるく
日記には『山へ石蕗の花を貰ひに行く』とあります。
そんな道すがらの句でしょうか。
秋の花を、山へ摘みに出かける。
ちょっと乙女な感じで、のんびり暮らしている様ですね。
さらに『戻って、ふと袖や裾を見ると、草の実だらけだ』ともあります。
いわゆるオナモミ、マジックテープのアイデアの元になった、トゲトゲのやつでしょうか。
オナモミを、たくさんひっつけて歩く山頭火さん。なんか可笑しいです。
大人は、あんまり付けてませんからね。
私も子どもの頃、今頃の季節、オナモミを”ひっつきむし”と呼んで、友達と投げ合ったり、帽子にいっぱいくっつけたりして、遊びました。
コオロギも空き地に行けば、いつでも捕まえられる、身近な虫でした。
夕暮れの中、いつまでも、下らない遊びで、ゲラゲラ笑いながら遊んでいました。
何がそんなに可笑しかったのか…
今も、子どもたちは、ゲラゲラ笑いながら遊んでいるんだと思います。
ただ、オナモミもコオロギも、近所で見かけることはなくなった今、
何を見て、何をして笑っているのでしょう。
新しい、下らないことを見つけたのかな…
そしていつか、何がそんなに可笑しかったのかと、思うのでしょうかね。
大人になるとは、何がそんなに可笑しかったのかを、忘れることなのかもしれないです。
今なら誰が、山頭火さんを演じますかねぇ。
前回の続き、今、山頭火さんを映像化するなら、誰が演じているのを見たいか、という話を書きたかったのですが、ここまでの話が長くなってしまいました。次回に持ち越します。多分。
ただ、山で花を摘み、ちょっと乙女だったり、たくさんついた、ひっつきむしを取ろうと必死になっていたりする、ムロツヨシはハマるんじゃないでしょうか。
季節も変わり、草も枯れてゆきましたか、そうですか。
人もそうですか……、そうでもないですか。