山頭火さんは、春の其中庵。
月をかすめて飛行機はとをざかるおぼろ
のんびりした、静かな月夜の句に読めますね。
この句だけだと。
この日、山頭火さんは、時間を追うように句を詠んでいます。
それを追っていくと、実は、決してのんびりした夜では無いことが伝わってきます。
長くなりますが、順を追ってみます。
早春の晴れて風ふくサイレンのいつまでも
藪椿ひらいてはおちる水の音防空デー、燈火管制の夜
爆音、月は暈きてまうへ
街はあかりをなくしたおぼろ夜となった
月夜いつぱいサイレンならしつゞける
そして、冒頭の句
月をかすめて飛行機はとをざかるおぼろ
これ、たぶん軍用機ですね。
まるで、俳句を使った実況中継のようです。
飛行機が遠ざかっていくのとは反対に、飛行機の連れて来るものが、日常や自然の中に、近づいて、じわじわ入り込んでくる感じがします。
先日、宇宙飛行士候補のお二人が発表されました。
そのお二人、日本人初の月面着陸も期待されているそうです。
月に人が立っているその時に、のんびり月を眺めてみたいものですが、その頃の地球はどうなっているんですかね。
月に暈がかかると、雨。そうですか。
雲行きが怪しいですか。そうですか。