山頭火さん、其中庵での真冬の一日。
この年、1933年の大寒は睦月二十日でしたので、今年2024年睦月と同じです。
冬の一番寒い時期に入っています。
そんな日の一句です。
雪、雪、雪の一人
雪の三段重ねですね。
降りまくっているのでしょうか。
積もりまくっているのでしょうか。
雪、雪、雪。
ただ雪を三度重ねて詠んでいるわけですが、自分で声に出して読んでみると、味わいが変わりました。
雪、雪、雪。
ただボリュームがアップしていく感じではなく、それぞれ雪の表情が違うように思えてきたのです。
朝の雪。
午後の雪。
夜の雪。
時間経過があったり。
ちらちら降る雪。
吹雪く雪。
積もっていく雪。
動きが違ったり。
そして、そんな雪を一人で見ている山頭火さんがいる。
しかし、それぞれ、違う表情を見せたはずの雪が、クローズアップで見てみると、結局ただの同じ白い雪。
「雪」という漢字をあてる名前ではないのですが、「ゆき」という響きを持つ名前の記憶が、私には三様あることを思い出しました。
ゆきさんは、みんなにゆきちゃんと呼ばれていましたっけ。
ゆきこさんは、ゆっこと呼ばれていました。
みゆきさんは、ゆっきーでしたね。
色々な表情、ずいぶん久しぶりに思い出しました。
お元気ですか。
降り積りましたか、そうですか。
雪ですか、記憶ですか。
どちらも、いずれ溶けてなくなりますね、ちがいますか。