山頭火さん絶賛其中庵暮らしです。
日記には、『また山の方へ』とあります。
庵に暮らす中でも、旅を思い、ちょいちょい近くの山へ分け入っていくのでしょう。
今頃の季節、なんかソワソワしますものね。
ゆふべはゆふべの鐘が鳴る山はおだやかで
『ゆふべの鐘』は、お寺の暮れ六の鐘でしょうか。
だとすると、日はもう暮れています。
おだやかだった山も、急に夜の顔に変わります。
星が輝き出すころ。
山の向こうから、遠く鐘の音が山頭火さんの耳に届く。
お彼岸も近いです。
山の向こうで、西方浄土への扉が開きかけているのかも知れませんね。
その隙間から漏れ出た鐘の音でしょうか。
本当に聞こえたのか。幻なのか。
山頭火さんには聞こえたんですね、そうですか‥
冷えてきたでしょう、そろそろ帰りますか、そうですか。