【今日の山頭火さん】第49回:8月24日の山頭火さん

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AUgust 24,2023 #49 91 years ago 8月24日の巻 家をめぐる青田風よう出来てゐる
『今日の山頭火さん』第49回で利用する画像です
8月24日の山頭火さん

山頭火さん、其中庵で残暑です。

家をめぐる青田風よう出来てゐる

昔は、私の実家の近くにも、沢山田んぼがありました。

今はそこに住宅やらマンションが建ち、田んぼはほとんどありません。

幼いころ、家の中にいても聞こえてきた、カエルの鳴き声は、まったく無くなりました。

実家へ戻った際、暑い中、というか熱い中と書いた方がいいぐらいですが、田んぼはどうなっているかなと、一画だけ残っている場所へ見に行ってきました。

田んぼの前に立って見ると、スズメよけのネットが張られていたり、背景が夏空では無く、建物だったりして、記憶の中の田んぼとは、雰囲気が随分変わっていました。

農薬等の影響でしょうか、カエルの姿も見当たりません。

ここでさらに、ちょっと別の違和感がありました。

この山頭火さんの句を、声に出して読みながら、田んぼを見る。

これを、青田って詠むかね。

確かに稲の葉は、まだ青かったのですが、実がついており、穂先は下がってきています。

青田と呼ぶのとはちょっと違う様子でした。

調べてみました。

地域や品種によっても田植えの時期は異なるので、一概には言えないのですが、昭和20年代以前の田植えの時期は、概ね今より一ヶ月ばかり後だったようなのです。

山頭火さんが、この句を詠んだのは、昭和七年です。

だとすれば、この時期、山頭火さんの家の周りが青田であっても、納得です。

青田風も吹きますな。

古くから続く作物の栽培など、ずっと同じ時期の風物詩だと思ってました。

今、当たり前だと思っている景色が、ほんの90年あまりで、ずいぶん変わるもんだなと。郷愁まっしぐらです。

山頭火さんの日記を読んでいると、ちょいちょいこうした出来事に出くわすのが、おもしろいです。

これから、温暖化がさらに進めば、もっと色々変わっていくのでしょう。

近所の田んぼも、そのうちバナナ畑になるかもです。

カエルの代わりに、ワニが出てくるかもしれません。

それはそれで、熱川バナナワニ園みたいで、嫌いじゃないですけどね。

変わらないものなどありませんか、そうですか。

パンタレイですか、そうですか。

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